災害用トイレは何回分いるのか——備蓄でいちばん足りていないもの
水と食料はそろえた。で、トイレは?
先に答えを書きます。災害用の簡易トイレは、1人1日5回で数えます。大人2人の家なら、3日分で30回分。7日分なら70回分です。
備蓄の項目のなかで、トイレだけが突出して抜けています(内閣府「防災に関する世論調査」2025年)。
水はあるのにトイレがない家が、実はいちばん多い。今日はその話です。
なぜトイレだけ抜けるのか
理由は単純で、想像しにくいからだと思います。
「水がないと困る」「食べるものがないと困る」は直感できます。飲む・食べるは毎日やっていることだからです。ところがトイレは、蛇口をひねるのと同じくらい当たり前に「流れるもの」なので、止まった状態をイメージする機会がありません。
でも、順番は逆です。
発災の当日、最初に困るのはたいていトイレです。
断水すると、水洗トイレは流せません
停電でも断水でも、水洗トイレはそのままでは使えなくなります。
さらに注意したいのがマンションです。建物や配管が損傷している場合、手元に水があっても流してはいけないことがあります。排水管が壊れた状態で流すと、下の階への漏水につながるためです。点検が済むまで水洗トイレが使えない前提で考えると——
うちは何回分?——計算はかけ算1回です
必要数の目安は次のとおりです。
- 大人2人・3日分 … 5 × 2 × 3 = 30回分
- 大人2人・7日分 … 5 × 2 × 7 = 70回分
- 大人3人・7日分 … 5 × 3 × 7 = 105回分
乳幼児(0〜2歳)は数に入れません。おむつを使うためで、そのぶんおむつとおしりふきを別に備えます。大人2人+乳幼児1人の家なら、簡易トイレは大人2人分の70回分(7日分の場合)+おむつ、という数え方になります。
「105回分」と聞くと多く感じますが、簡易トイレは便袋と凝固剤のセットで、パッケージは水や食料よりずっと小さくおさまります。置き場所の負担は、数字の印象ほど大きくありません。
朗報:トイレの備蓄は「一度そろえれば終わり」です
備蓄が続かない理由の1位は「お金がかかる」(28.1%、ミドリ安全2025年調査)ですが、トイレはこの点でいちばん楽な項目です。
- 食べものと違って、日常で消費しながら回す必要がありません
- 保存期限が長く、買い替えのサイクルがゆっくりです(購入時にパッケージの期限だけ確認を)
- 好みも味もないので、選ぶのに悩む要素が少ない
つまり、水や食料のように「積み立てて維持する」のではなく、最初に一度そろえたら、あとはほぼ手がかかりません。
まずは満点を目指さなくて大丈夫です。1人1日5回 × 3日分。大人2人なら30回分。ここが最初の一歩です。
出典
備蓄率(水69.8%・食料59.8%・携帯/簡易トイレ27.2%): 内閣府「防災に関する世論調査」(令和7年8月調査)
備蓄しない理由の1位「お金がかかる」28.1%: ミドリ安全「2025年度 家庭の防災対策実態調査」
必要量の目安(1人1日5回): 東京備蓄ナビ(東京都)のオープンデータに基づく(MIT License, Copyright (c) 2021 Tokyo Metropolitan Government and other contributors)
最終確認日: 2026年8月19日
蔵太郎のひとこと
「水はあるのにトイレがない家、実はいちばん多いんです。まずは1人1日5回×3日分から」