蔵太郎

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乾物でローリングストック——「何日分」は増えなくても、置いておく理由

乾物でローリングストック

切り干し大根、わかめ、ひじき、かつお節。台所の引き出しに、たいてい何かしら入っているものです。

乾物はローリングストックに向いている、とよく言われます。これは本当です。ただし、備蓄の中での役割は、主食とは違います。

主食で日数をつなぎ、乾物で体調をつなぐ

乾物をいくら増やしても、「うちは何日分あるか」の答えはほとんど変わりません。それでも置いておく理由があります。順に書きます。

乾物は「何日分」を増やさない

在宅避難が何日もつかを決めるのは、水・主食・トイレのような、毎日かならず減っていくものです。

東京都の「東京備蓄ナビ」も、水や主食は1人1日あたりの量で示しています。ところが乾物の量は「適量」で、1人何袋という決まりがありません。

つまり乾物は、日数を数える品目ではありません。わかめを10袋買い足しても、主食が2日分なら、その家は2日しかもちません。

ここを取り違えると、乾物の棚が充実しているのに主食が足りない、という備え方になります。日数を伸ばしたいときは、先に主食を足してください。

それでも置いておく理由は、栄養です

農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」には、こういう一文があります。

レトルトご飯と缶詰でおなかは満たせても、野菜のぶんが抜けやすい。そこを埋める手段として、同じガイドは乾物を挙げています。

  • 副菜になる乾物 … のり・ひじき・切干大根・わかめなど
  • 主菜になる乾物 … かつお節・桜エビ・煮干し等

東京備蓄ナビの説明も同じ向きです。乾物は「保存期間が長く栄養素が豊富」で、災害時に有効な食材だとして、切り干し大根や寒天を勧めています。

ローリングストックに向いている理由

ローリングストックは「食べる」と「買い足す」の2つでできています。乾物は、このうち食べるほうが、放っておいても起きる食材です。

みそ汁にわかめ、冷ややっこにかつお節。防災のために食べる必要がなく、ふだんの料理でそのまま減っていきます。

そのうえ保存期間が長く、軽くてかさばりません。買い足しが少し遅れても、期限切れになりにくいのも向いているところです。

1袋使い切ったら、1袋買う。いつもの1袋を、2袋持っておくだけ

ローリングストックで止まりやすいのは、買い足しのほうです。その理由と立て直し方は、ローリングストックが続かない理由の記事にまとめています。

気をつけるのは、戻す水

乾物の弱点は、水で戻すものが多いことです。断水しているあいだ、その水は家の水の備蓄から出ます。

水の目安「1人1日3L」には、飲む水だけでなく調理に使う水も入っています。戻し水は、その中でやりくりすることになります。

農林水産省のガイドには、水をなるべく使わない食べ方が載っています。

  • 切り干し大根 … ポリ袋でツナ缶・塩昆布・梅干しと揉んで20分ほど置く。水では戻さず、ツナ缶の汁が戻し汁の代わりになる
  • わかめ … 50cc程度の水に5分ほどつけて戻す。戻し汁は捨てずに味付けに使う
  • 乾物パスタ … 切干大根や干し椎茸をパスタと一緒に鍋に入れ、ふたをして煮る。ゆで汁を捨てないので、水も栄養も逃さない
戻し汁は捨てない。缶詰の汁で戻せるものは、水を使わない

のり・かつお節・桜えびは、戻さずにそのまま食べられます。災害時にまず手に取るのは、このあたりになります。

どれを置いておくか

ここからは、蔵太郎からの提案です。選ぶ基準は2つで足ります。

  • ふだん食べているもの。食べ慣れないものは、平時に減らないので回りません
  • 水と火をあまり使わないもの。そのまま食べられる、少ない水で戻る、缶詰の汁で戻せる

戻すのに時間や水がかかるものも、ふだんの料理で使っているなら置いておいて構いません。災害時は後回しにすれば済みます。

乾物は、日数を増やす備えではありません。主食でつないだ日数のあいだ、体調を崩さずに過ごすための備えです。

いつもの1袋を2袋にしておく。それだけで、災害時の食事に野菜のぶんが戻ってきます。

出典

「大きな災害時には野菜不足から…」、副菜・主菜の乾物の例: 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」(3)備蓄食品の選び方(平成31年3月)

切り干し大根・わかめ・乾物パスタの食べ方: 同(10)災害時の簡単レシピ。ガイド全体は一覧ページから(PDF版 約7MB)

乾物の量「適量」、「保存期間が長く栄養素が豊富」、切り干し大根・寒天の推奨、水の目安1人1日3L: 東京備蓄ナビ(東京都)のオープンデータ(MIT License, Copyright (c) 2021 Tokyo Metropolitan Government and other contributors)

⚠️ 「どれを置いておくか」の2つの基準と、「1袋使い切ったら1袋買う」は、これらの資料の内容ではなく蔵太郎からの提案です。

最終確認日: 2026年9月29日

蔵太郎

蔵太郎のひとこと

「いつものわかめを、もう1袋。それだけで、もしものときの食卓が少し元気になりますよ」

うちの主食は何食いるか計算してみる(かんたん診断)