脅さないで、家族に備蓄の話を切り出す——「きっかけがなかった」が理由の1位でした

脅さないで、家族に備蓄の話を切り出す

備蓄をひとりで進めていると、どこかで壁に当たります。

家族に話してみたら、あまり乗ってこなかった。そのあと切り出しづらくなって、そのままになっている。

よく聞く話です。そして、たいてい「うちの家族は関心がないから」という結論になります。

ところが、調査を見るとそうでもありませんでした。

話し合っていない理由の1位は「話し合うきっかけがなかったから」。56.7%でした。

理由の1位は、関心ではなくきっかけでした

内閣府の「防災に関する世論調査」(令和7年8月調査)に、家族との話し合いについての設問があります。

ここ1〜2年のあいだに、家族や身近な人と災害が起きたときの対処を話し合ったことがあるか。

回答 割合
ある 63.6%
ない 35.1%

そして「ない」と答えた600人に、その理由を聞いています。

理由(複数回答・上位3つ) 割合
話し合うきっかけがなかったから 56.7%
すぐ連絡が取れると思うから 22.0%
話し合う時間がなかったから 18.8%

内閣府「防災に関する世論調査」(令和7年8月調査)より。全国18歳以上・有効回収1,707人・郵送法。

過半数が「きっかけがなかった」と答えています。2位以下を倍以上引き離した1位です。

「面倒だから」でも「関心がないから」でもありませんでした。切り出す場面が来なかっただけ、という人がいちばん多いということです。

備蓄は、避けられている話題ではありません

同じ調査に、もうひとつ手がかりがあります。

家族と話し合う内容として何が重要だと思うか、という設問です。

1位 避難場所・避難経路 79.1% / 2位 食料・飲料水 67.1% / 3位 連絡手段 54.1%

備蓄は2位に入っています。3人に2人が、家族と話したい内容だと考えている計算です。

つまり、家族が備蓄の話題そのものを嫌がっているわけではありません。話す機会と、話し方の問題のほうが大きそうだということになります。

ここから先は、蔵太郎からの提案です。調査で裏づけられた話ではなく、備蓄の場面ではこう言うとよさそう、という書き方の工夫として読んでください。

怖い話から入らない

切り出すときに、つい大きい話から始めたくなります。南海トラフ、首都直下、何十万人という被害想定。

これは1回は効きます。ただ、次がありません。

怖さには慣れるので、2回目に同じ話をしても最初ほど動きません。3回目は、話が始まった時点で聞き流されるようになります。

毎月少しずつ続けてほしいことを、1回かぎりの手段で始めてしまうところに無理があります。

もうひとつ、脅す形にすると「分かっているけどやっていない」という後ろめたさを相手に残します。後ろめたさは、その話題ごと避ける動機になります。

答えを言わずに、数えてもらう

代わりに有効だと感じているのは、問いの形にすることです。

「もし今、水道が止まったら、うちは何日もつと思う?」

コツは2つあります。

  • 答えを先に言わない。「3日分しかないよ」と言った瞬間に、相手の仕事は聞くことだけになります
  • 相手に数えてもらう。自分で出した数字には、反論が起きません

冷蔵庫の中と、水のストックと、トイレのぶん。数えてみると、たいてい思っていたより短い日数が出ます。

その驚きは、こちらが説明して作った驚きではありません。相手が自分で見つけたことなので、そのまま残ります。

数え方は公助はいつ来るのかの終わりのほうに書いてあります。水・食料・トイレを別々に数えて、いちばん小さかったものがその家の日数です。

次の一手は、1つだけにする

数字が出たあと、やってしまいがちなのが「じゃあ3日分そろえよう」と言うことです。

これは戻ってしまいます。3日分をそろえるには買い物も置き場所も必要で、今日からできることが1つもありません。

頼むのは1つだけで足ります。

  • 次の買い物で、いつものレトルトを1つ多めに買う
  • 水を1箱だけ、いつもの場所に置いておく

このくらいなら、防災のための特別な行動になりません。買い物のついでに終わります。

備蓄が続かない理由の多くは、量の多さではなく「防災の時間」を作らないと進まない形になっていることだと思います。ついでに乗る形にしておくと、来月も続きます。

最後に、だれが何を買うかを決めておく

もうひとつだけ、話せるときに決めておくと後が楽になることがあります。

だれが何を買うかです。

備蓄を家族で進めると、たいてい同じものを二重に買います。逆に、お互いが買ったつもりでいて誰も買っていないものも出ます。

「水は私が箱で買う」「トイレのぶんはそっちで見ておいて」。この一言があるだけで、買い物のたびに確認しなくてよくなります。

蔵太郎では、買い足すものを家族で共有して、1件ごとにだれが買いに行くかを決めておけます。ひとりで全部を抱えなくてよくなる、というのがいちばんの効きどころだと思います。

紙のメモでも冷蔵庫の付箋でも構いません。決めた内容より、決めてあること自体が効きます。

出典

家族や身近な人と話し合ったことの有無(ある63.6%/ない35.1%)、話し合ったことがない理由(きっかけがなかった56.7%/すぐ連絡が取れると思う22.0%/時間がなかった18.8%、複数回答・上位3項目)、話し合う内容として重要なこと(避難場所・避難経路79.1%/食料・飲料水67.1%/連絡手段54.1%。調査は上位4項目まで掲載しており、4位は非常持ち出し品50.5%): 内閣府「防災に関する世論調査」(令和7年8月調査)

調査の概要: 令和7年8月21日〜9月28日、郵送法、全国18歳以上の日本国籍を有する者、標本3,000人、有効回収1,707人(有効回収率56.9%)。理由の設問は「ない」と答えた600人が対象。

⚠️ 「怖い話から入らない」「答えを言わずに数えてもらう」「次の一手は1つだけ」は、この調査の結果ではなく、蔵太郎からの提案です。

最終確認日: 2026年9月19日

蔵太郎

蔵太郎のひとこと

「いきなり全部をそろえようと言わなくて大丈夫です。『次の買い物で1つ多めに』から始めると、ご家族も続けやすいですよ」

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