3人家族で1週間分の備蓄は、どれだけ?——水59L・主食59食・トイレ105回分
「3日分、できれば1週間分」。防災の本やサイトには、たいていそう書いてあります。
けれど、それが自分の家で何リットル、何食になるのかまでは、なかなか書いてありません。
先に答えを出します。大人2人と小学生1人の家なら、1週間(7日)分はこうなります。
数字は、東京都の「東京備蓄ナビ」が公開している1人1日あたりの目安から計算したものです。以下、条件と中身を順に並べます。
「3人」がだれかで、数字が変わります
同じ3人家族でも、必要な量は同じではありません。年齢で1日あたりの目安が違うからです。
| 3人の内訳 | 水 | 主食 | トイレ |
|---|---|---|---|
| 大人3人 | 63L | 63食 | 105回分 |
| 大人2人+中学生1人 | 63L | 63食 | 105回分 |
| 大人2人+小学生1人 | 59L | 59食 | 105回分 |
| 大人2人+乳幼児1人 | 59L | 42食+液体ミルク42食 | 70回分+おむつ70個 |
いずれも7日分。「大人」は中学生以上、「小学生」は3歳〜小学6年生、「乳幼児」は0〜2歳。1人1日あたり、水は3L(3歳〜小学6年生と乳幼児は2.4L)、主食は3食(3歳〜小学6年生は2.4食)、簡易トイレは3歳以上で5回として計算し、端数は切り上げています。
中学生は大人と同じ量で数えます。小学生になると、水と主食が少しだけ減ります。
乳幼児がいる家は、数え方そのものが変わります。赤ちゃんのぶんは減るのではなく、ミルクとおむつに移ります。水だけは乳幼児のぶんも足すので、大人2人の42Lではなく59Lです。
ここから先は、例として大人2人+小学生1人の家で進めます。
水・食料・トイレだけでは、足りません
在宅避難が何日続けられるかは、次の5つで決まります。ひとつでも尽きたら、その日で終わるものです。
| カテゴリ | 数える品目 | 7日分 | 1日あたり |
|---|---|---|---|
| 水 | 飲料水 | 59L | 8.4L |
| 食料 | レトルトご飯などの主食 | 59食 | 8.4食 |
| トイレ | 簡易トイレ | 105回分 | 15回 |
| 衛生 | 除菌ウェットティッシュ | 210枚 | 30枚 |
| 熱源 | カセットボンベ | 21本 | 3本 |
大人2人+小学生1人の7日分。東京備蓄ナビの1人1日あたりの目安(ウェットティッシュは1人10枚、カセットボンベは3歳以上で1本)から計算しています。
水の59Lは、2Lのペットボトルで30本。6本入りの箱なら5箱です。
この水は、飲む量だけではありません。1人1日3Lには、調理に使う水や口をすすぐ水も入っています。「そんなに飲まない」と減らして数えると、断水した日に足りなくなります。
除菌ウェットティッシュは、水で洗う代わりに「拭く」ためのものです。断水すると、手を洗うことも、テーブルを拭き掃除することも、気軽にはできなくなります。手指、食卓、台所、トイレのまわり。ふだん水で流していた汚れを、拭き取って片づけることになります。
1人1日10枚は多く見えますが、トイレのあと(1日5回)と食事の前(3回)に手を拭くだけで8枚です。そこに食卓や台所を拭くぶんが加わるので、210枚は余るほどの量ではありません。
カセットボンベは、備えた食料を「食べられる形」にするための燃料です。電気もガスも止まった家で、お湯を沸かし、温め、調理できるのはカセットコンロです。お湯があれば、レトルト食品やカップ麺、フリーズドライのスープまで、食べられるものの幅が広がります。農林水産省のガイドは、温かい食事は体を温め、緊張や不安を和らげてくれる、とも書いています。
カセットボンベの本数は、出典によって幅があります。農林水産省のガイドは「1人/1週間当たり約6本」としていて、3人なら約18本です。18〜21本のあいだで見ておけば、どちらの目安にも届きます。
ボンベには6〜7年ほどの使用期限があります。少し多めに買っておき、ふだんの鍋料理などで使ったら買い足す。こうして回しておけば、期限切れでまとめて捨てることもありません。
数で決まるものは、3日分でも1週間分でも同じ
もうひとつ、日数では増えないものがあります。人数や世帯で数が決まる道具です。
- カセットコンロ … 1台
- 明かり … 懐中電灯1灯、LEDランタン3台、ヘッドライト3個
- 電気まわり … 乾電池3セット、携帯電話の充電器3個、手回し充電式などのラジオ1台
- 水を運ぶ … 給水袋3袋
- けがと体調 … 救急箱1箱、常備薬1箱、軍手3組
これらは、3日分をそろえた家なら、もう足りています。
1週間分というと、全部を倍以上にするように聞こえます。実際に買い足すのは、さきほどの5つのような、使うと減っていくものです。
なぜ「1週間分」なのか
首相官邸の防災のページは、飲料水の目安を3日分としたうえで、「大規模災害発生時には、『1週間分』の備蓄が望ましいとされています」と書いています。
住まいによっても変わります。東京備蓄ナビは、戸建てには3日分、集合住宅の上層階には7日分を勧めています。エレベーターが止まると、水や食料を運び上げられなくなるためです。
「まず3日分」の3日がどこから来たのかは、公助はいつ来るのかの記事にまとめています。
一度にそろえなくていい
59Lと59食と105回分を、今週末に全部そろえる必要はありません。
同じ家族の3日分は、水26L・主食26食・簡易トイレ45回分です。まずここを目指して、そこから5日分、7日分と積んでいけば届きます。
3日分でも、そろっている家は多くありません。子どもと同居している母親800名への調査では、非常食を「家族全員が3日以上対応できる量」備えている家庭は12.3%でした。
積み方には、ひとつだけコツがあります。いちばん少ないカテゴリから足すことです。
水が1週間分あっても、主食が2日分なら、その家は2日しかもちません。いちばん少ないところに足したときだけ、家全体の日数が動きます。数え方はうちは、あと何日分?の記事で3ステップにしてあります。
3人家族の1週間分は、水59L・主食59食・簡易トイレ105回分。それに衛生と熱源を足した5つが、在宅避難の日数を決めます。
道具は3日分のときにそろえたもので足ります。あとは、減るものをいちばん少ないところから積んでいけば、1週間分に届きます。
出典
必要量の目安(1人1日あたり 水3L〔3歳〜小学6年生・乳幼児は2.4L〕/主食3食〔3歳〜小学6年生は2.4食〕/簡易トイレ5回〔3歳以上〕/除菌ウェットティッシュ10枚/カセットボンベ1本〔3歳以上〕、液体ミルク・おむつは乳幼児のみ)、および戸建て3日分・集合住宅上層階7日分: 東京備蓄ナビ(東京都)のオープンデータに基づく(MIT License, Copyright (c) 2021 Tokyo Metropolitan Government and other contributors)。表の数字は、この目安から防災備蓄アプリ「蔵太郎」の計算で出したものです。除菌ウェットティッシュの使い道(手指・テーブル・キッチン・トイレ回りの拭き取り)とカセットボンベの使用期限(6〜7年)・ローリングストックでの備え方も、同じ東京備蓄ナビの品目説明によります。
カセットボンベ「1人/1週間当たり約6本」、カセットコンロの用途(温め・沸かす・調理)と温かい食事の効用、お湯で食べられる食品の幅が広がること: 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」(7)熱源を確保しよう(平成31年3月)
「大規模災害発生時には、『1週間分』の備蓄が望ましいとされています」: 首相官邸「災害が起きる前にできること」
非常食を「家族全員が3日以上対応できる量を備えている」12.3%: ミドリ安全「2026年 家庭の防災対策実態調査」。調査期間2026年2月12日〜15日、インターネットリサーチ、子どもと同居している20〜49歳の全国の母親800名(地域別に各100名の均等割付)。全世帯の平均ではありません。
最終確認日: 2026年10月2日
蔵太郎のひとこと
「59Lと聞くと、多く感じますよね。まずは3日分の26Lから。そこに積んでいけば、1週間分にちゃんと届きますよ」