「水は1人1日3L」は、何のための3Lか——トイレを流す水は入っていません
防災の水の目安は「1人1日3L」。どこで調べても、まずこの数字が出てきます。
聞いた人の反応は、だいたい2つに分かれます。「そんなに飲まない」と「それで足りるの?」です。
先に答えを書きます。どちらの感じ方も、3Lの中身を知ると片づきます。
3Lに入っているもの
東京都水道局は、この数字を「人間に必要な水の量は1人1日3リットル」と説明しています。東京都の「東京備蓄ナビ」も、生命を維持するのに必要な水分量の目安として3Lを置いています。
中身は、飲む水と、食べるための水です。東京備蓄ナビの英語版は、この品目を「飲用・調理用など」の水と書いています。
反対に、ふだん家で使っている水の多くは、この3Lに入っていません。
- トイレを流す水
- 手や体を洗う水、お風呂
- 食器を洗う水、洗濯
つまり3Lは、断水した家で最後まで削れない部分の量です。
「そんなに飲まない」と思ったら
3Lを全部飲む必要はありません。飲み物として口にするのは、その一部です。
残りは食べるために使います。アルファ化米やフリーズドライ、カップ麺のように、水かお湯を注いで食べる非常食は少なくありません。農林水産省のガイドも、非常食を食べるには飲料水が欠かせない、と書いています。
「うちはそんなに飲まないから2Lで」と減らすと、削れるのは飲む量ではなく、食べられる非常食の数のほうです。
「それで足りるの?」と思ったら
足りません。トイレも手洗いも洗い物も、3Lの外だからです。
ただ、ここで水を何十リットルも買い足す必要はありません。水で済ませていたことを、水を使わない道具に置き換えます。
| ふだん水を使うこと | 水の代わりに | 目安(1人1日) |
|---|---|---|
| トイレを流す | 簡易トイレ | 5回分 |
| 手を洗う・食卓を拭く | 除菌ウェットティッシュ | 10枚 |
| 食器を洗う | ラップを敷いて、洗わずに済ませる | 世帯で1本 |
| 歯みがき | 口内洗浄液・歯みがき用のウェットティッシュ | — |
| お風呂 | 体を拭く大判のウェットタオル | — |
「水の代わりに」の組み合わせと目安は、東京備蓄ナビの品目と1人1日あたりの目安(簡易トイレは3歳以上)によります。ラップは世帯単位で数える品目です。「—」は目安の数量が決まっていない品目です。
東京備蓄ナビの品目リストも、この考え方でできています。ラップや口内洗浄液は「断水」の項目に入っていて、水の量を増やすのではなく、水を使わずに済ませる側に並んでいます。
とくにトイレは、断水中はそもそも流せません。流すための水を備えるより、流さずに済む簡易トイレを備えるほうが確実です。簡易トイレの数え方は災害用トイレは何回分いるのかにまとめています。
くみ置きの水は、期限が来たら「生活用水」へ
それでも、掃除や体を拭くときに少し水があると助かります。その水は、くみ置きから回せます。
東京都水道局によると、水道水をくみ置きしたときの塩素の効き目は、直射日光を避けた常温で3日ほど、冷蔵庫で10日ほどです。期間が過ぎた水は、掃除や洗濯に使うよう勧めています。
飲み水はペットボトルで3Lずつ数え、くみ置きの水は飲み水の数には入れず、生活用水として使う。2つを分けて数えると、3Lの意味がぶれません。
1人あたりなら、ペットボトルで何本か
3Lのまま数えると、1人あたりの量はこうなります。
- 3日分 … 9L(2Lのペットボトルで5本)
- 7日分 … 21L(2Lのペットボトルで11本)
中学生以上の目安です。3歳〜小学6年生と乳幼児は1日2.4Lで数えます。家族の組み合わせごとの量は、3人家族で1週間分の備蓄は、どれだけ?に表にしてあります。
3Lは多すぎる数字ではなく、削れない最低限です。そのぶんはペットボトルで確保して、トイレや手洗いは水を使わない道具で埋める。この分け方なら、水を何十リットルも積まずに済みます。
出典
「人間に必要な水の量は1人1日3リットルです」、くみ置き水の塩素の効果(常温で3日程度・冷蔵庫で10日程度)、保存期間が過ぎた水を掃除や洗濯に使うこと: 東京都水道局豊島営業所「災害に備えて 飲み水の確保を!」(地域水道ニュース、PDF 1.7MB)
水の目安(1人1日3L、3歳〜小学6年生・乳幼児は2.4L)と、生命を維持するのに必要な水分量としての説明、品目名の英語表記「Water (for drinking, cooking, etc.)」、簡易トイレ(1人1日5回〔3歳以上〕)・除菌ウェットティッシュ(1人1日10枚)・ラップ・口内洗浄液・歯みがき用ウェットティッシュ・ウェットボディタオルの用途と、それらが「断水」の項目に分類されていること: 東京備蓄ナビ(東京都)のオープンデータに基づく(MIT License, Copyright (c) 2021 Tokyo Metropolitan Government and other contributors)。1人あたりの量は、この目安から防災備蓄アプリ「蔵太郎」の計算で出したものです。
非常食を食べるには飲料水が不可欠であること: 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」(7)熱源を確保しよう(平成31年3月)
最終確認日: 2026年10月15日
蔵太郎のひとこと
「3Lは、削らずにそのまま数えて大丈夫です。トイレや手洗いは、水を使わない道具でちゃんと埋められますよ」